片想い同盟
「だって1年の体育振りだもん、バレー」
「にしてもだろ」
おかしそうに笑いながらも、なんだかんだ拓海は付き合ってくれる。
意外と体が覚えているようで、サーブはすんなり打てた。……ちょっと手が痛いけど。
「当てるところが悪いんだよ。もうちょっとこっちにボール当ててみ?」
「こう?」
「そうそう」
拓海の手が、私の手に触れた。
お互い躊躇なく触れ合える関係。でも、ドキドキしたりなんてことはしない。
それが心地いいと思うのは、たぶん私だけじゃないと思う。
それはきっと、同じ不毛な恋をしている同士だから。