片想い同盟
「お前、バカだな」
「うるさい。早く日誌届けに行きなさいよ。それでさっさと部活に行け」
「口悪りぃぞ」
「余計なお世話」
あぁ言えばこう言う。拓海とはこんなのばっかりだ。
「じゃあお先に」と言って日誌を片手に教室を出て行く拓海に、ひらひらと手を振った。
そしてやっぱり目を向けるのは、窓の外にいる彼。
高野優希 (たかの ゆうき) くん。私の好きな人。
なんでバレたんだろう。
優希くんのことは、拓海にはもちろん誰にも言ったことがないのに。
優希くんとは、去年同じクラスで知り合った。
私は特定の仲良しの友達はおらず、かといって浮いてる存在でもない。
1人でお弁当食べることもあれば、友達みんなでわいわい食べることもあるし。言うなれば広く浅くのお付き合いをするタイプ。
そんな私だから、優希くんも最初はそのお友達の中の1人という存在。……その、はずだった。