片想い同盟
「私と拓海は友達。同じ中学だから家も近所なだけ。それ以上でもそれ以下でもないよ」
「なによ、その態度。ちょっと顔がいいからって調子に乗らないでくれる?」
「は?」
ただ拓海との関係を答えただけなのに、彼女たちはムッとしてさらに突っかかってきた。
めんどくささ極まりなくて、思わず低い声が出る。
「……態度が悪いのはどっちよ」
ついでにポロっとそんな言葉が出てしまって、しまったと思ったときにはもう遅かった。
次の瞬間には、ドン、と肩を強く押され、思いっきり尻もちをついてしまう。
「ったぁ〜……」
「フンッ、いい気味よ」
急な衝撃に顔を歪めた私を見て、彼女たちは満足したのか去って行く。
そんな心狭いであろう4つの背中を眺めながら、やれやれと息を吐いた。