片想い同盟
「あれ、先生いないのか」
ガラッと保健室の扉を開けると、そこには誰もいなかった。
「そういやさっき、サッカーで怪我した奴がいたな。そっちに行ったのかな」
ぽつりと呟いた優希くんは、「そこに座って」と私を椅子に座らせると、棚をなにやら物色し始めた。
「それ、たぶん腫れてるよね。早く手当てした方がいい」
「……っ、え!い、いいよ!大丈夫だよ」
「だーめ。前みたいに治るのに時間かかっちゃうよ?」
ピシッと言われて、言葉に詰まってしまった。
だって、去年も同じように無理して、3日はまともに歩けなかったから。
でも、それよりも嬉しいのは、優希くんが前のことを覚えててくれてたこと。
それだけでときめいてしまう私は、本当に単純かもしれない。