片想い同盟
その感情が変わり始めたのは、1年の夏頃。
体育でバスケをしていて、私が足を痛めたときだった。
言う気も保健室に行く気もさらさらなかった私は、そのままその後の授業も過ごし続けた。女子と男子でコートを分けて、練習試合の繰り返し。
当然、誰かに気付かれるわけでもなく。
そのまま授業をやり過ごしていたけれど、腫れてきたのか痛みが悪化してきてしまった。
それでもここまで来たらどうすることもできなくてただバスケを続けていると、コートに乱入してきた人がいたんだ。
女子コートに乱入してきたのは、まさかの男子生徒。
『平気?遠山さん』
────それが、優希くんだった。
優希くんは、コートも違う私の動きの違和感に気付いて、わざわざ声をかけにきてくれたようだった。
誰にも気付かれなかったのに、唯一気付いてくれた人。
意識し始めるのには十分すぎる出来事だった。