片想い同盟


優希くんは誰にでも優しい。


怪我したのが私じゃなくて他の誰かだとしても、きっと彼は同じことをした。


それが白石さんならきっと、もっと……。



「優希くん」

「ん?」



……だめだよ、こんなところに私と2人きりでいたら。

もしかしたら白石さんが私たちを見て傷ついてるかもしれない。泣いてるかもしれない。


だから、早く……。



そう言う勇気すらない私は、所詮自分が傷つくのが怖いだけのずるいやつ。かと言ってもっと一緒にいたいとも言えない臆病者。



「ありがとう」

「ううん、お大事に」


結局どちらとも口にできなかった私はお礼だけを告げて、彼は体育館へと戻って行った。



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