片想い同盟
「カッコいいんだろうな〜」
楽しみな気持ちを隠すこともなく、杏は言う。
『あいつ、好きな人いるぞ』
『知ってるよ』
初めて杏に核心的なことを追求したあの日から、俺はこいつのこの真っ直ぐすぎる想いが眩しくてたまらなかった。
俺だって負けない。
そう言いたいところだけど、どこかでもう完全に諦めていて、ただこの想いが早くなくなってくれることを祈ってる。
「お前、俺と同じクラスなこと忘れるなよ?」
「もう、わかってるってば。仕方ないから拓海のことも応援してあげるよ」
「仕方なくかよ」
ヘヘッと笑いながら、杏はひょこひょこと俺の隣を歩く。
その左足に罪悪感を抱きながらも、これ以上謝ったら逆に怒られそうで、グッと言葉を飲み込んだ。