片想い同盟



どうせ、「黙ってた私が悪い」とか、「怪我した私が悪い」とか、そんなことしか考えていないんだろう。



「黙ってた私が悪いから、気にしないでよ。それよりも心配してくれてありがとう」


直後に思っていたことをそのまま口にした杏に、思わず笑ってしまった。




「……なんで笑ったの、さっき」

「ん?いや、わかりやすいやつだなぁと思って」

「は?なにそれ」


チームメイトが次の試合の準備をしてくると離れていったあとで、笑った俺に気づいていたらしい杏がむすっとした顔で聞いてきた。



そんな顔すんなって。だって面白かったんだから仕方ないだろ。


まあ、ついこの間まではまるで知らなかったこいつの行動パターンを理解しつつある自分に、少し驚いて自嘲したってのもあるけど。


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