片想い同盟
「ていうか、そっちの女子バレーの試合もう始まんの?」
「え?あぁ、うん。次のコートが空いたらかな」
「じゃあ、俺らの試合と被るな」
俺が出る試合も、もう時期だ。このまま行けば、試合の時間は被るはず。
俺のその言葉で初めてそのことに気がついたのか、杏は「そっか」と言ってなにかを考えているようだった。
「じゃあ私、バレーコートに行くね」
「……え?」
「え?」
そして杏が口にした選択の答えに、俺は一瞬驚いて声が出た。
てっきり俺たちの試合を優先するのかと思った。"俺"たちというか、高野の試合を。
そんな考えとは裏腹に、杏が選んだのはバレー。
驚いた俺に対して、杏も驚いた様子だった。