片想い同盟


「いやだって、高野の試合見たがってたろ」

「あー、優希くんの試合はもちろん見たいんだけどね。でも、見れたら、って話だから。自分のチームが戦うときに他のところには行かないよ」



さも当たり前のように、シレッとそう言って、杏はバレーコートへと向かっていった。


ぎこちなく歩いていくその背中に、思わず「すごいな」と声が漏れる。



本当、あいつには驚かされる。


あんだけ優希くん優希くん言ってたくせに、その大好きな高野を取らないなんて。




「お。来たなー、唐沢」


いよいよ自分の試合になりコートへ入ると、黄色の俺とは違う緑のゼッケンをつけた高野がニッと笑ってみせた。


いつもサッカーをしてる相手と、バスケで対面するなんてなんか変な感覚。


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