片想い同盟
さすが高野のいるチームということもあって、試合は熱戦だった。
点を入れれば取り返され、取られたと思ったらこっちも負けずに取り返す。
気づくとタイムリミットがあと3分まで迫っていて、点数は2点俺たちが負けていた。
よほど盛り上がって見えるのか、コートの周りにはギャラリーが増えている。
視界の端に杏の姿も捉え、バレーの試合が終わったのは見てとれた。
どうせ、俺らのクラスより高野個人を応援してるんだろうな。
あいつの一途すぎる想いを想像して、思わずふっと笑みがこぼれる。
「笑ってるなんて余裕じゃん」
「んなことねぇよ。お前が羨ましいなって話」
高野の手から、パシッとボールを奪った。