片想い同盟


そこで鳴った試合終了のホイッスル。



「くそ〜。負けたかー……」


最後までディフェンスで俺のガードにいた高野が、悔しそうに肩を落とした。



「お前の方がかっこいいじゃん。俺こそお前が羨ましいよ」


そしてポンと俺の肩を叩いた高野が、そう呟く。


そうじゃないだろと言いたいのをグッと我慢して「だろ?」なんて調子のいい言葉を返した。



「2人ともお疲れ様っ!唐沢くん、バスケ上手いんだね!」


コートの外に出ると、待っていたのか白石さんが声をかけてくれた。


高野を応援してたはずなのに、俺のことをそう言ってくれるだなんて、頑張った甲斐があったかもしれない。


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