結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。

「飯田くん？」


「俺は聞かないよ。

ゆきちゃんが言おとしているその続きの言葉」



え？


「だって俺まだ、全然頑張れてないし。

ゆきちゃんに振り向いてもらうために」



そう言った飯田くんの顔は、すごく真剣な顔だった。



「だからさ、今週の日曜日。

空けといてくれる？」


「え？」



日曜日？



「その日、俺にラストチャンスを頂戴？」



ラストチャンス……



「1日、俺とデートして。

俺頑張るから。

それでもゆきちゃんの気持ちが変わるようでなければ、俺は潔く諦める」


「わか、りました……」



飯田くんのその本気の気持ちを、わたしが否定する権利はない。


だからわたしは飯田くんのお願いを応じることにした。



「ありがとう。

じゃあ日曜、10時に駅前ね。

俺、本気で頑張るから」



そう言って飯田くんは来た道を戻っていってしまった。