結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。
「そう言えば今日はどこに行くんですか?」
わたしはずっと気になっていたことを聞いた。
「今日は水族館に行こうと思ってるんだ」
「水族館!?」
「あれ?水族館、嫌いだった?」
心配そうに聞いてきた飯田くんに、わたしは目をキラキラとさせて答えた。
「いいえ、その逆です!水族館、大好きです!」
飯田くんはわたしがそんな反応をすると思わなかったのか、目をパチパチとさせて少し驚いていた。
が、それも一瞬ですぐに優しい笑みを浮かべた。
「そっか、よかった。
ゆきちゃん水族館好きそうだなって思って選んだから安心した」
わたしのこと考えてくれたんだ…
嬉しいな……
飯田くんのその思いと気遣いに胸が温かくなった気がした。
「飯田くん、ありがとう」
そして、そんな飯田くんにわたしは心からありがとうと伝えた。
「うわぁ、お魚さんがいっぱーい!」
「ゆきちゃん、もうちょっと声抑えようか」
「はっ、すみません…」
飯田くんの言葉にハッとして周りを見渡すと、大きい声で子どもみたいにはしゃいでいたわたしを見て、周りの人たちがクスクスと笑っていた。
は、恥ずかしい……
顔を真っ赤にして、下を向く。