結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。


「後悔したくなかったから。

何も言わないで諦めるより、ちゃんと気持ち伝えた方がいいと思ったんだ。

それに、誰だって努力してみないと結果なんて分かんないだろ?」



結果……



「俺の努力次第で、もしかしたらゆきちゃんの気持ちが俺に向いてくれたかもしれない。

未来のことなんて、誰にも分かんないだ。

頑張ってみないと、分かんないだろ?」



まぁ、結局俺じゃあ力不足だったけど。


そう続けた飯田くん。



飯田くんの今の言葉が、わたしの胸にストンと落ちてきた。



「ゆきちゃん。

俺のことを振るなら、条件がある」


「条件…?」


「結城と幸せになること。これが条件」



なんで、それが条件に?



「結城が好きなんだろ?

だったら、絶対想い伝えて幸せになって」



飯田くんのその言葉を聞いて、じわりと目に涙が溜まってきた。



ほんと、どこまで飯田くんはいい人なんだろう……



そんな飯田くんに、好きだって言って貰えたわたしは凄く幸せ者だ。



「この条件、のめるよな?」


「はい…」



のむよ。

絶対、絶対に幸せになってみせる。



飯田くんに心配させないように、幸せになってみせる。



「よかった。よし、じゃあ帰ろっか」



神様……

どうか、飯田くんを幸せにしてあげてください。


いつか必ず、飯田くんの目の前にわたしなんかよりもっともっと素敵な人が表れますように……。



そして、飯田くんとの一日デートが終わり、わたしたちは友達という関係になった。



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