結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。


げっそりとして教室に帰れば


「ゆきー!!

こんな時間まで何してたの!心配したんだよ。

昼休みあと10分で終わっちゃうよ!」



あやちゃんがすごい勢いで突進してきた。



「ごめんね、あやちゃん。

ちょっといろいろっ…。

あ、おっお腹痛くなっちゃって」



思わずさっきのことを言ってしまいそうになっちゃったけど、ギリギリのところで思いとどまる。



あやちゃんに嘘をつくのは心苦しいけど、あの人に何されるか分からないし。



あ、そうだ。

あやちゃんにさっきの人のこと聞いてみよう。



あやちゃん、イケメンさんには詳しいから。



「ねぇあやちゃん」


「なーにー?」


「結城直也くんって、知ってる?」



わたしがそう聞けば、もともと大きい目をさらに大きくさせて、凄い形相でわたしに言った。



「当たり前でしょ!!!!

知ってるも何も、この学校の生徒なら知ってるのが常識よ!!

知らない人なんていないから!!」


< 14 / 275 >

この作品をシェア

pagetop