結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。
げっそりとして教室に帰れば
「ゆきー!!
こんな時間まで何してたの!心配したんだよ。
昼休みあと10分で終わっちゃうよ!」
あやちゃんがすごい勢いで突進してきた。
「ごめんね、あやちゃん。
ちょっといろいろっ…。
あ、おっお腹痛くなっちゃって」
思わずさっきのことを言ってしまいそうになっちゃったけど、ギリギリのところで思いとどまる。
あやちゃんに嘘をつくのは心苦しいけど、あの人に何されるか分からないし。
あ、そうだ。
あやちゃんにさっきの人のこと聞いてみよう。
あやちゃん、イケメンさんには詳しいから。
「ねぇあやちゃん」
「なーにー?」
「結城直也くんって、知ってる?」
わたしがそう聞けば、もともと大きい目をさらに大きくさせて、凄い形相でわたしに言った。
「当たり前でしょ!!!!
知ってるも何も、この学校の生徒なら知ってるのが常識よ!!
知らない人なんていないから!!」