結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。
く、苦しい……
長いよ結城くん。
さすがにそろそろ息が続かない……
もう無理、と意味を込めてトントンと結城くんの胸を叩くが結城くんは一向にやめようとしてくれない。
酸素が足りなくてガクッと足の力が抜ける。
そんなわたしを結城くんは片手でグッと抱き支え、ようやく唇を離してくれた。
キスを終えたわたしは肩で息をする。
「ゆき、へばるの早すぎ」
そう言う結城くんは息一つ乱れてなくて、至って余裕。
わたしだけ余裕なくて、結城くんは余裕ありまくりな所に少しムッとする。
しかし、疲れ果てたわたしにはそんな余裕もなく。
ここが神社の裏でよかったなぁ、なんて思う。
ここは人が誰もいないから。
キスしてるところなんて見られてたら、それこそわたしは恥ずかしすぎて気を失ってたところだよ。
でもきっと、既に顔は真っ赤なんだろう。
だから最後の足掻き。
赤い顔を隠すためにわたしは、涙目になった目で結城くんを睨みつける。
このキスにどんな意味があるのかなんて分からないけど、わたしだけ余裕がないなんて嫌だから。