結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。
「ママがいない日があって、その日わたしが代わりに家事全般をしたの。
それで、結城くんの制服を選択するときに、女物の香水の香りがして…」
今までそんなことはなかった。
確かに、中学のとき結城くんは沢山の女の人と関係を持ってたって言ってたけど、それはもう過去の話で。
だけど、それも過去の話なんかじゃなくて現在進行形なのかな、なんて思ってしまう自分がいる。
最低だ……
結城くんのこと信じるって決めたのに。
こんな自分に嫌気がさして堪らない。
「女、ね…」
あやちゃんは考えるように俯く。
「わたし、結城くんの暇潰しに過ぎなかったのかな…。
飽きられちゃったのかな…。
嫌われちゃったかな……」
だとしたら、何がダメだったんだろう……。
わたし、結城くんに嫌われるようなことしちゃったのかな……
考えても答えなんか出るはずもなく、心臓がズキズキと痛むのを感じながら唇を噛み、流れそうになる涙を堪える。
「ゆき。
結城くんのこと、もう好きでいたくない?」
あやちゃんの優しい声に、わたしは首を横に振る。