結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。
「嫌だ……」
嫌だよ……
こんなところで諦めたくない。
「初めてこんなにも人を好きになった…」
結城くんの動きや言葉一つ一つに胸を高鳴らせて、もっともっとって欲張りになっている自分がいる。
前まではこんなこと無かったのに、夏祭り以降わたしはどんどん貪欲になってる。
「じゃあゆき。結城くんと話しな」
「え……?」
話す。
そう言われても、何を話せばいいのか分からない。
「ゆきが今気になってること、全て。
事実を知って、ゆきが苦しい想いや辛い想いをするかもしれない。
けど、ちゃんと話しを聞いた方がいい。
何も知らないままお互いすれ違うのは嫌でしょ?」
確かに、このまますれ違ったままなんて嫌だ。
でも、これ以上傷ついて苦しい想いをするのも嫌で……
恋って、楽しいことだけじゃない。
辛くて、苦しくて、逃げ出したくなることもあるんだ……。
「大丈夫。
もし結城くんがゆきを傷つけるようなことを言った場合は、あたしが容赦なく結城くんをぶっ飛ばす。
そしてあの世に葬ってやる」
背後に黒い空気を醸し出してるあやちゃんに若干逃げ腰になりつつも、私のためにそう言ってくれたことに、暗く沈んでたわたしの心が温かくなったきがした。
「ありがと、あやちゃん。
わたし、ちゃんと結城くんに聞くよ」
結果がどうであれ、このままじゃダメなことは分かってるから。
それにもしわたしが傷つくことになっても、わたしにはこんなにわたしのことを思ってくれる大切な友達がいるから。
だから大丈夫だ……。