結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。


「―――……やっぱりわたしは結城くんに嫌われたんですよね?

それ以前に、最初から相手にされてなかったんですよね……」


「それは違う!!!」


「じゃあどうして結城くんはわたしを避けるんですか!?

どうしてあんなこと言ったんですか!?」



全部わたしが空回って勘違いしてたから、ああなったんだよね?



そもそもわたしは、最初から結城くんに何とも思われてなかったんだ……



「直也は、ちゃんとゆきちゃんのこと考えてた…」



目の前の矢本くんは、苦しそうに顔を歪めてそう言った。



「じゃあ、どうして……?」



わたしのその問いかけに、矢本くんは俯きながら言った。



「直也は、昔いろいろあったんだ…」



いろいろ……?



「アイツが、女遊びするようになったのもそれが原因」



結城くんが、女の子のことを何とも思わなくなったのには、それに理由があるの…?



でも確かに今思えば、夜中のときの結城くんの目には、何も映してないくらいに真っ黒だった。



結城くんが何かを抱えてることは一目瞭然だったのに、わたしは最初から結城くんに何とも思われてなかったんだって、勝手に傷ついて知ろうともしなかった。



見ないフリしてたんだ……。


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