結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。
「あぁー。
ゆきには一番嫌われたくなかったんだけどな…」
ほんと、最悪だ……
ここ最近の俺には余裕がなかった。
それでも、俺がゆきにしたことは許されることじゃない。
最低なことをした。
そうは分かっていても、頭にまとわりつくのは八年前の今日のことで……
ちょうど俺の八回目の誕生日で、大好きだった母さんが家を出ていった日だった。
それまではほんとに仲のいい家族で、母さんが俺と父さんを捨てる日が来るなんて想像していなかった。
だけど母さんは家を出ていったんだ……。
俺の誕生日の日に。
小さかった俺は、いつか絶対に母さんは家に帰ってきてくれると思ってた。
だけど、次の誕生日もその次の誕生日も母さんが帰ってきてくれることはなくて、気づけば中学二年の誕生日。
大きくなるにつれ、俺は捨てられたんだって気づいたけど、その事実を受け入れられなくて。
だけどその日、とうとう俺は壊れたんだ。
学校が終わって何となく家に帰りたくなくて来た繁華街。
ただボーッと時間を潰すために歩いてた。