結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。
何も頭になかった。
なのに、俺は見つけてしまったんだ。
道の向こう側から歩いてくる昔の面影を残した母さんと、その隣にいる知らない男を。
母さんはその男と幸せそうに笑って歩いてた。
それを見て、即座に俺は思った。
あぁ、やっぱり俺は捨てられてたんだって。
俺が待ってる間、母さんは他の男と仲良く幸せに暮らしてた。
期待するだけ無駄だっんだ。
それがわかった瞬間もう全てがどうでも良くなって。
俺の外見だけ見て声をかけてきた女すべてに手を出した。
毎日朝帰りで割り切れる関係を保てる女だけ関係を続けて。
父さんは仕事を理由に全然帰ってこなかったから何も言われなかった。
そんな生活が中学卒業まで続いた。
特に俺の誕生日が近づくと女遊びは酷さを増して。
誕生日なんて一生来なければ良いって思ってた。
それは今も……。
高校からは心機一転、心入れ替えて女遊びはやめたけどこの時期になると、やっぱり俺はダメで。
結局荒れた。
ゆきに会えば絶対にゆきを傷つける。
そう思ってゆきを避け続けたけど、結果的にはその行動でゆきを傷つけ、そして俺は最低なことをして更にゆきを傷つけた。