結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。
「俺って、どこまでクズなんだよ」
存在価値あんの?
好きな女を守るどころか自分が傷つけて、とんだクソ野郎じゃねーか。
「俺なんか一人いなくなったところで誰も困んねーし悲しまねーよ」
自嘲気味に笑って俺は言う。
そんなとき__
「そんなことありません!!」
ゆきの声が聞こえた気がした……。
「……は?」
俺は突然のことに驚きつつも周りを見渡す。
すると、少し離れた場所にゆきに似たシルエットを見つけた。
そのシルエットが徐々に俺に近づいてくる。
そして段々とはっきりする姿。
「…………ゆき」
その人物は、やっぱりゆきだった。
なんでこんなとこいんだよ……
どうして俺に声なんかかけてんだよ……
言いたいことは沢山あるのにどれも声にならない。
「結城くん、わたしは結城くんがいてくれてほんとに感謝してます」
ビー玉みたいな透き通った綺麗なその瞳で俺を見つめてゆきは言う。