結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。
「もう言葉に表せないくらい結城くんのことが好きで好きで、大好きなんでっ……」
―グイッ
え…?
言い終わる前に結城くんに腕を引っ張られ気づけば結城くんの腕の中にいた。
「結城くん……?」
きつく結城くんに抱きしめられる。
「ほんとに、俺でいいの…?」
いつもは自信満々に話す結城くんだけど、今はとても弱々しくて自信なく聞いてくる。
それだけ結城くんは不安なんだよね…
「結城くんがいい。結城くんじゃなきゃ、やだ…」
こんなにも大好きなんだもん。
今更好きになるなって言われても無理だよ。
結城くんが嫌だって逃げても追いかけ続けるもん。
「俺も……」
わたしの肩に顔を埋めて結城くんは言う。
「俺もゆきが好きだ……」
じわじわと結城くんの想いがわたしの心に伝わってきた。
だけどわたしも聞きたいことがある。
「わたしこそ、ほんとにわたしなんかで良いんですか?」
だってなんの取り柄もない人間だよ?
「俺だってお前がいいんだよ。
だからゆきは余計なこと考えんな」
結城くんがそう言ってくれるならわたしは大丈夫。
「結城くん、大好き……」
「俺も……」
お互いの目を見てそう言い、わたしたちは夜の浜辺で口付けを交わした。
とても優しいキスだった……。