結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。

わたしがただただ俯いていると、上から「ゆき」とわたしを呼ぶ結城くんの声が聞こえた。



今まで結城くんを避けてたわたしを怒るのか、はたまた逢坂さんと付き合うことになったから別れ話をしに来たのか。


分からないけど、きっと後者なんだろうな。



こんな弱虫でぐずぐすしてて勝手に結城くんのこと避けてる奴のことなんか、結城くんは嫌いになったはず。


でもそれに比べて逢坂さんは、明るくて元気で、自分の想いを真っ直ぐに伝えられる素敵な人。



自分に自信がないわたしなんかとは大違い。



わたしなんかより、逢坂さんの方が結城くんに相応しいことぐらい分かってるけど、でも結城くんのことが好きだから。


別れたくないから。



だから結城くんのこと避けて、されるかもしれない別れ話を聞かないようにしてたのに…。



やっぱり、神様って残酷だ。



きっと、弱いわたしへの罰だろう。



でも、やっぱり別れ話を素直に受けれるほどわたしは強くない。



だからせめて、わたしに言わせてください。



最低だって分かってる。

わたしにこんなこと言う資格だってないのも分かってる。


こんなことしか出来ない自分に嫌気がさすけど。



きっと結城くんに別れよって言われても、絶対にわたしは結城くんを手放すことはできないから。



だから、結城くんが悩まなくて済むようにわたしに言わせて。