結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。
「最初こそ逢坂さんに全く興味を示さなかった結城くんが、最近凄く仲良さそうにしてて、それを見る度にわたしは辛くなって」
逢坂さんと結城くんが二人仲良さそうに肩を並べて、廊下を歩いている所を見てはどうしようもなく苦しくなった。
ましてやキスだなんてっ……。
「分かってます。
こんなのただの嫉妬だって……。
だけど、二人の姿を見る度にドス黒い醜い感情しか持てないわたしが、嫌で嫌で堪らないんです」
黒い感情に心が支配されそうになるのが、凄く怖かった。
「結城くんにとって逢坂さんはただのクラスメイト。
だから大丈夫、何も心配する必要なんてない。
何度も何度もそう自分に言い聞かせて大丈夫だって思ってきたけど、あんなのっ……」
二人のキスシーンなんて見たら、もうダメだよ……。
「違う、全部ゆきの勘違いだ」
静かに、結城くんはそうわたしに告げた。
結城くん、あのね。
わたしもそうであって欲しいってずっと思ってたけど、もう無理なんだ…。
信じたい、信じたいけど。
「ごめんなさい…………」
もう、結城くんが分からないの。
信じきれる自信が、ないんだ……。