結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。
暫くボーッと窓の外を見ていると、ガラガラッと扉が開く音がした。
ゆっくりとそちらを向くと、そこにいたのは飯田くんだった。
私に気づいた飯田くんは目を見開いて驚いた様子だった。
そりゃあそうか。
だって今のわたし、きっと酷い顔してる。
気まずくなって飯田くんから目を逸らすと
「ゆきちゃん?」
遠慮がちに飯田くんが声をかけてきた。
「飯田くん…」
「どうしたの?何かあった?」
ゆっくりとこちらに近づいてわたしに聞く。
「いえ。何もないですよ」
「嘘だ。
何も無いって顔してない。辛いって顔に書いてある」
どうやら飯田くんにはお見通しらしい。
そんなに分かりやすく顔に出てるのかな。
飯田くんはわたしか座っているベッドの横にしゃがみ、下からわたしの顔を見上げて言った。
「俺には言えない?」
「そうじゃないです。
だけど、ほんとに大丈夫ですから」
わたしが頑なに話すことを拒否していると、飯田くんははぁ、と小さくため息を漏らした。