結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。
―彩花side
ズダダダダ……!
と音を立てて走るあたし。
向かうは結城直也がいる一組の教室。
今のあたしはかなり怒ってるんだ。
あたしの大事な大事なゆきを泣かせた結城直也に!!
――ガラガラッ!
勢いよく扉を開けて、中を見渡す。
今は昼休みだから生徒も結構いて、たくさんの視線があたしに向く。
でもあいにくそんなの気にしていられる程あたしは周りなんて見てないんで。
目的の人物を捉えて、あたしの足はそこ一直線。
相手も急なあたしの登場に驚いてるようで、目を見開いてあたしのことを見ていた。
「結城くん。今時間ある?」
笑顔を貼り付けてあたしは結城くんにそう問う。
「うん、大丈夫だよ」
それに対して、結城くんはどこか力のない笑みを浮かべて言った。
そしてわたしたちは人気のない廊下までやってきた。
「単刀直入に言う。
よくもあたしのゆきを泣かせてくれたわね」
あたしは結城くんを睨んでそう言った。