結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。


「ゆきは、賭けの対象にされてたの。

あたし、許せなかった!」



今すぐボコボコにしないと気が済まなかったあたしをゆきは止めて、あたしを引っ張ってその日はそのまま家に帰った。



「賭けの対象にされて、傷付いてないはずないのにゆきは騙されてたわたしが悪いからって、無理に笑顔作って……」



その日からだった。


ゆきが、必要最低限男子と話さなくなったのは。



ゆきは次の日その男子と別れた。



幸い卒業間近だったから、それ以降その男子と関わることはなかった。



でも、ゆきはそれ以来恋することに臆病になって、誰かを好きになることはなかった。



ゆきの、心からの笑顔を見ることも少なくなった。



でも……


「でも、結城くんと出会ってゆきは、よく笑うようになった……」



閉ざしてた心を、開くようになったんだ。



「それにゆきは、結城くんと出会ってから男子ともよく話すようになった。

そして、結城くんを好きになって、もう一度恋をした……」



過去の傷を乗り越えて、新しい恋をすることができたんだよ。



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