結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。



―ゆきside



結城くんを避け始めてもう一ヶ月半。


こんなことしかできない自分がほんとに情けない。



ほんとは誰よりも結城くんのことが大好きなのに……。



「……はぁ…」



自分に嫌気がさし、つい口から漏れたため息。



そしてそのままわたしは目の前にある自分の家を見上げた。



こうなったのは、帰りのあやちゃんの一言にある。



この一ヶ月半、わたしの様子を見かねたあやちゃんが、松島家にわたしを置いてくれていた。



迷惑になることは分かっていたから断ったけど、おじさんとおばさん、そして亮くんに笑って迎えてもらって、今までずるずると松島家にお世話になっていた。



今までもちょこちょこ家に帰ってはいたんだ。


結城くんがいないときを狙って……



そして今日、あやちゃんに『一回家に戻ってみたら?』と言われた。



最初はえっ……、と思ったけどいつまでもぐずぐずとしてたってしょうがないよね。



でもやっぱり家には入りずらい。



確か今日って、結城くんバイトだったよね……?

じゃあ帰りも遅いよね?


…………って、こんなこと考えてたらいつまで経っても結城くんと気まずいままだよ…。



よし!

気持ち切り替えて家に入ろう!


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