結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。
「ゆき、よかった……」
ホッとしたようにそう言い、もう一度結城くんはわたしを優しく抱きしめた。
温かい……。
わたしにとって、結城くんにこうやって抱きしめてもらえることがこんなにも幸せで嬉しいものになってたんだ…。
「ゆき、俺…」
「待って結城くん!わたしに先に話させて…」
結城くんの言葉を遮る。
わたしが先に話さなきゃいけないから。
いつまでもぐすぐずするのはもうやめた。
許してくれないかもしれない。
もう遅いのかもしれない。
でも、ちゃんと謝ってわたしの本心を伝えなきゃ。
「前保健室で、結城くんに酷いこと言ってごめんなさい」
結城くんの顔が見れなくなって俯く。
「辛いって言ってごめんなさい…。
苦しいって言ってごめんなさい…。
無視して、ごめんなさい…。
こんな恋、したくないなんて言ってごめんなさっ……」
ごめんなさい。
そう言い終わる前に、結城くんはわたしを強く抱きしめた。