結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。
「分かった、分かったから。
ゆき、お前の気持ちはもう十分分かってるから、何も言うな…」
まるで泣きじゃくっている小さな子どもをあやすかのようにポン、ポンと優しくわたしの背中を叩いてくれる結城くんに、今まで張り詰めていた糸がプツンと切れわたしの目からは涙が溢れた。
「…ふぇっ…。
ゆ、きくん……、ごめんなさい……。
あんなこと、思って、ない……。
ほんとは、誰よりも結城くんのことがっ大好きで、ずっと一緒にいたいの…」
嗚咽のせいで言葉は途切れ途切れ。
だけど、それでも最後まで本当のわたしの気持ちを伝えたかった。
「俺も悪かった。
ゆきにあんなこと言わせたのは、紛れもない俺のせい。
だから自分のこと責めんな」
結城くんの優しい声が、わたしの涙腺を更に刺激する。
もはや今のわたしの涙は、止まることを知らないだろう。
わたしはたまらなくなってぎゅっと結城くんの首に腕を回して抱きついた。
そしてそれを合図に、結城くんはわたしを抱き上げリビングのソファーまで行き、わたしを抱えたまま座った。
結城くんの首筋に顔を埋める。
その状態で数分が経った。