結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。
「…へ?」
思いもよらない言葉に間抜けな声が出る。
するとトンと肩を押されて、いつの間にかわたしの視界にはリビングの天井と、結城くんの顔でいっぱいになっていた。
背中には柔らかい感触。
結城くんにソファーに押し倒されたんだ。
「ゆきの全部が欲しい。
ゆきを、俺のものにしたい」
凄く真面目な顔をしてそう言った結城くんに、ドキドキと胸が鳴る。
今、絶対顔赤い……。
恥ずかしくなって、結城くんから視線をずらす。
「ゆき、俺を見ろ」
胸の音が結城くんに聞こえてしまうんじゃないかと思うぐらい大きく鳴る。
凄く恥ずかしい。
けど、不思議とこの状態が嫌じゃなかった。
むしろ、結城くんならと思ってる自分がいる。
そしてわたしは、結城くんの目を見てはにかんで言った。
「わたしの全部を、もらってください」
わたしがそう言えば、結城くんはニヤッっといつもの意地悪い笑顔を浮かべて言う。
「仰せのままに」