結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。
エピローグ



わたしが好きになったのは学園一の王子様。



でもそれは表の顔で、実は意地悪で俺様で変態。


なんでもそつなくこなし、できないことはないんじゃないか、そんな人。



だけどわたしは知ってる。



本当は優しくて、オムライスが大好きなちょっと子供っぽい一面があって、誰よりも愛を求めていること……。



「直也くん!早くー!」


「ちょ、ゆき待てって!」



学校近くの道で、わたしは後ろにいる直也くんを呼ぶ。



んもう、早く行かないと遅刻しちゃうよぉ…。



「そんな急がなくても…」


「ゆっくりしてたら遅刻しちゃう!」


「はいはい」



わたしより背が高い直也くん。



そんな直也くんを見上げるのが好き。



「ゆき」



わたしの名前を呼んでくれるその低すきず高すぎない優しい声も好き。



直也くんは、ん、と言ってわたしに大きな手を伸ばした。


わたしはその手を握る。



このわたしを包み込んでくれる、大きな手も好きだ。



そして、わたしの前を歩く直也くんの大きな逞しい背中も好き。



直也くんの全てが好き。


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