結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。


「ごちそうさまでした…」



反論する気もなくなり、わたしは静かに食器をもってキッチンに行く。



「ゆき?もうごちそうさまなの?」


「うん。

なんかもう、頭がごちゃごちゃしてて疲れたから寝るね」



そう言ってリビングを出ていった。



わたしの頭は整理されることなく朝がやってきた。



「それじゃあゆき、直也くん。

行ってくるわね。戸締りはしっかりするように!

それとゆき。ちゃんと直也くんにご飯作るのよ。

いいわね?」


「…はーい」


「じゃあ行ってきまーす!」


「行ってくるな」



そう言い残してパパとママは家を出ていってしまった。



さっきまでの騒がしさはどこへやら。


2人が出て行った瞬間、この家には静けさが訪れた。



「行っちゃった……」



ママたちがいなくなったからだろうか。



さっきまでいろんなことでぐるぐるしてたわたしの頭は、一気にはっきりとしだした。


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