結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。
すると、
《ぱちんっ》
なんと部屋の明かりが消えてしまった。
「ぅそでしょ……」
停電……?
もう今のわたしは、雷と停電のせいで頭が真っ白。
じわりと目に涙も溜まる。
「もう、ゃだ……」
必死に耳を抑えて、聞こえてくる全ての音を遮断する。
「ゆきっ!」
そんなわたしに呼びかかる、もう聞きなれた声。
「ゅうき、くん……?」
「大丈夫か!?」
わたしの目の前には結城くんがいた。
「くっそ、暗くてなんも見えねー」
結城くんの声がすぐ近くから聞こえることにほっとする。
「ゆき。
懐中電灯、どこにあるか分かるか?」
そう聞かれるが首を横に振る。
今のわたしは、大っ嫌いな雷と停電のせいで何も考えられない。
懐中電灯がどこにあるのかも知ってるはずなのに、その場所すら思い出すことができない。