結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。


「はぁー」



ほら、今だってため息ついてる。



呆れて、絶対にめんどくさいって思ってるよ…。



そう思ったら引いてた涙がまたじわじわと目に溜まってきて。


「しょうがねーな。

俺にちゃんと捕まってて」



その言葉にこくりと頷く。



結城くんは、嫌々ながらわたしを軽々と持ち上げて抱っこしてくれる。



そんな結城くんの肩に、わたしはただ顔を埋めてぎゅっと捕まることしかできない。



そしてあっという間に結城くんはリビングのソファーにわたしを抱えたまま座った。



「ゆき?もう着いたぞ」



そう言って降りるよう促す結城くん。



だけどわたしはぎゅっと結城くんの肩に手を回し、顔を埋めたまま動かない。



涙が止まらない。



「泣いてんのか?ゆき」



結城くんのシャツを濡らしちゃうから、いい加減泣き止まなきゃって思ってるのに全然引いてくれない。


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