結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。


「どうした?ゆき」



優しく声をかけてくれる結城くん。


そんな結城くんのせいで、余計に涙が出てくる。



「…めんなさぃ……」


「ん?」



どこまでも結城くんは優しい。



「ごめんなさい、結城くん……」


「なんで?」


「いっぱい、いっぱい結城くんに、迷惑かけちゃって」



彼女でもないこんなわたしを、抱っこしてここまで運んでくれて、全然泣き止まないわたしを優しく抱きしめてくれてる。



「ゆきは、俺がこれを迷惑だって思ってると思ってんのか?」



肩に顔を埋めたままこくりと頷く。



「馬鹿だな。

俺は自分が迷惑だと思ったらこんなことしねーよ。

迷わずお前を見捨ててる」


「……え?」



その言葉に、思わず顔を上げる。



「ゆきだからいーんだよ。

俺だってなんでこんなこと自分がしてんのか分かんねーけど、ゆきじゃなかったらきっとこんなことしてない」


< 82 / 275 >

この作品をシェア

pagetop