結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。


「あれ?ゆきから聞きました?」


「いや聞いたわけじゃないんだけど、僕の友だちが南さんが屋上の階段登るところを見たって言ってて」



舜のことを一瞬見て話す。



舜は舜で、状況がまだ掴めないのかポカーンとだらしなく口を開けている。



「そうだったんですか!

あ、ちなみにここだけの話…」



そう言って松島さんは俺の耳に口を近づけて、


「ゆき、今告白されてますよ。

あの飯田和真くんに」



と、声を小さくして言った。



は?

告白?


しかもあの飯田にか?



「最悪……」


「今なら行ったらまだ間に合うんじゃないですか?」


「ちっ…」



小さく舌打ちをして。


「舜。

わりぃ、俺ちょっと行ってくるわ」



そう言って屋上に向かって駆け出した。


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