届け、この想い~先生と私とチューリップ~
先生の手は、暖かくて、柔らかくて……。

手を握られただけで、こんなにドキドキするんだ。


恋人繋ぎではなかったけれど、私はもう満足。


ずっと触れたかった先生の手……。


恋って、すごいんだ……。


だって私、今……世界で1番幸せになった気分。




先生と手を繋いだだけで、先生の特別な生徒になれた気分。


おバカな私は、握り返すことが出来ず、恥ずかしさで、少し俯いた。


神様、お願い……。


この幸せ、もう少しだけ……。



「どうしたぁ?あ、男と手繋いだの初めてだった?」


先生は心配そうに、私の顔を覗き込んだ。


「違いますー。手くらい繋いだことあります」


私が拗ねたように言うと、先生は「意外だな」と笑った。


本当はね……

男の子と手を繋いだのなんか

忘れちゃったよ……。


あまりにも、

今が、この手が

嬉しすぎて。




「そういえば、お前好きな奴とかいるんだろ?最近キラキラしてるからさ。
そいつと手とか繋いだ?」

意地悪な笑顔を見せる先生から顔を背けた。


『今繋いでるよ』


そう、心の中で答えた。




「どうでしょうねー」


「なになに!なにか進展あった!?」


先生はキラキラした目で、爽やかに微笑んだ。


そんな貴方が、好きなんだよ。


「その人は、私が好きなの気付いてないから……」


私がそう言うと、先生は立ち止まり、真剣な顔になった。


「それは、だめだよ!ちゃんと伝えなきゃ!でも、いい感じなんじゃねーの?大野可愛いし、男ってもんは告白されたら、その子のこと1日中、考えちゃうし……」


な?と、先生は笑った。




先生……


私は、この気持ちを


貴方に伝えてしまいそうです。


そんな笑顔で、私の顔を覗きこまないで……。


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