届け、この想い~先生と私とチューリップ~
じゃあさ……

そんなこと言うけれど

先生は、私が告白したら

一日中、私のこと

考えてくれる?


好きになってくれる?


ねぇ……

先生……

なんだろうね。


涙が出そうになっちゃうよ。


先生が、どんどん好きになってく。


苦しいよ……。


なんとなく気まずくなって、私は、さりげなく話題を変えた。


「先生の手、暖かいね」


「ん~?そぉか?」


「うん。私は……きっと、私は卒業しても、何十年経っても、この手を忘れないと思う……」


何を言ってるんだろう……。


先生だって、困っちゃうじゃん。


「お前ねぇ、男には気をつけろよ?」


「はい?」


「調子に乗ったガキ共に、そんな事言ったら、すぐさらわれるぞ?」


先生は困ったように笑うけど、先生だから、言ったんだよ……。


大好きな、先生だから……。



先生に、今すぐさらわれたい……。


初めて知った、貪欲な気持ちを、ぐっと飲み込んだ。

「ま、そうなったら俺が、お前の人生相談、特別にタダでのってやるよ」


「……いつもは、お金取るの?」


「そうだなぁ、1千万くらいかな」


「ぼったくり……」


「何をー!?」


この時間も、

宝物だよ、先生……。


先生は、岡先生が戻ってきたら、居なくなっちゃうかもしれない。




だけど、今は今のこの時間は、先生を独り占め……。

「おい、空見てみろ」


住宅街の隣にあるサッカー場で先生は、突然立ち止まった。




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