届け、この想い~先生と私とチューリップ~
「ほら、今日はテストなー」
「えー!さえちゃん勘弁してよー」
「コラ、さえちゃん言うなー」
相変わらず、先生は人気者。
男子にも、もちろん女子にも人気。
密かに、学級委員長の長沢さんも先生が好きだと気付いてしまった。
いつも、学年で3位には入ってるのに、今まで、分からないところなんてないって言ってたのに……。
佐伯先生には質問したり、お礼にクッキーを焼いたり。
頭のいい長沢さんには
勝てないような気がして
少し、寂しかった……。
やっぱり、先生も勉強が出来た方が、可愛い生徒なのかな。
偉いなって思うのかな……。
テストは、もちろん完敗。
教えてもらったところは出来たけど、どんどん応用にいくにつれて、私のペンは止まった……。
その代わり、隣の席の長沢さんは、長い髪で微笑みを隠し、スラスラとペンを走らせていた。
「はい、ペンを置けー。このテストの結果で、夏休み宿題の量が変わるからなー」
先生の発言に、クラスがざわめく。
「マジかよー」
私、きっと
ものすごい量なんだろうな……。
隣の長沢さんは
頭の良さで、先生にアピール
それなら、私は
頭の悪さで先生にアピール……?
ううん……。
それはやめておこう……。