届け、この想い~先生と私とチューリップ~
次の日、私は学校に向かった。


数学教科室を6回ノック。


「お?なんだ、もうギブアップか?」


先生はドアを開けて、意地悪に笑った。


「はい、これ」




問題集を先生に渡すと、一瞬目を見開いたが優しく笑って、採点をしてくれた。


途中、クスクス笑われてそんなに、アッパレな珍回答をしたのか、少し不安になった。



だけど、先生は違うよね……。



私が初めて、個人的に教わった時、公式も使えなくて、何も出来ない私を先生は笑わなかったもんね……。



その笑顔は、嬉しいのかな……。



私が持って来たこと?

私が頑張って解いたこと?



こうして、先生の側で、先生のニンマリ顔見られて、とっても嬉しいんだ……。






「よくやったな!!ちょっと、ここだけ」


先生は赤ペンで、丁寧に教えてくれた。


「また、頑張れよ」


「はいっ!!」



私は元気よく返事をして、学校を出た。


ただ勉強を教わっただけでも、短い時間しか一緒に居られなくても、私は、それだけでスキップしたかった。






短い時間の中で、先生が“私”という一人の人間の存在を認識してくれるのが、すごく嬉しい……。




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