届け、この想い~先生と私とチューリップ~
私は、スライド上映と買い出し係。



『マリー・アントワネット』の、マリー・アントワネット役!!



「パンがなければ、ケーキを食べればいいじゃない」


スライドの写真を撮る前に、セリフを吹き込む。




「スーパーに買い出し行くぞー!!エコバッグ、持って来たかー?」



佐伯先生と、私と、沙織。



他の買い出し組の人は、担任とホームセンターへ。




これって、運命だと自惚れてもいいですか……?




私は、初めてエコバッグを買った。


悩んで悩んで決めた苺柄。

「なんだその苺」


私のエコバッグを見て、先生は笑った。


「苺……可愛いし、好きだもん……」


私が頬を膨らませると、先生はもっと笑った。


「苺は食い物だろ……。苺を好きな理由が『可愛い』ってなんだ、そりゃ……」


ケラケラ笑う、先生の背中を、沙織がバチンと叩いた。



「痛っ……」


「先生はバカねー!!そんな女心も分からないなら、彼女居ないでしょ」


何も期待してないけれど、居ないって言って欲しかった……。


「っるせーな……」


それは、図星?

それとも、照れ隠しの肯定?




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