届け、この想い~先生と私とチューリップ~
複雑な気持ちのまま、初めて先生の車に乗った。



先生は、運転に慣れた感じで、大人の男性だった……。




後部座席に、沙織と乗り、バックミラーに映る先生の目元を、こっそり何度も見た。



真剣な瞳で運転する先生も、かっこいい。



先生の茶色いサラサラの髪を沙織が後ろから、ぐしゃっとした。


「うわ、びっくりした……。突然なにすんだよ……」


「いやぁ、なんとなく……」


出た。沙織の『なんとなく』

突然なにかをしでかす、沙織の性格



「はぁ?危ないからやめろよ?」



「先生の茶髪、地毛?」



噛み合わない会話を聞きながら、またバックミラーを見た。






細い目を、もっと細めて笑う。


先生の笑顔を見るだけで、どのくらい笑っているかも分かるようになった……。



5段階的だとしたら

今のは、レベル4






「お前、話聞いてんのかよ……。これ、地毛じゃないよ。染めてる。そろそろプリンになるんじゃね?」


チラッとバックミラーを見た先生と目が合った……。



「不良教師」



沙織は、ぼそっと呟いた。


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