届け、この想い~先生と私とチューリップ~
「うるせぇな、ほら、着いたぞ」


スーパーに入り、3人でメモを見ながら、あれこれと選ぶ。



カートを押す先生を見て、ちょっとキュンとしちゃった……。


「あたし、あっち見て来るから、杏は、佐伯プリン剛志とこっち見てて」


「変なミドルネームつけんなよ」


沙織なりの、優しさだよね。



私は、1度も沙織が邪魔だなんて思ったことなかったのに……。



沙織は、私が先生と2人になれるように、わざわざ離れてくれた。



沙織、ありがとう……。





「あ、このヤカン可愛い!」


広いスーパーに置いてある調理器具。


オレンジ色やピンク、ライトグリーンのヤカン。


それから、カラフルなお皿、お玉、ボウル……。




有名なメーカーの特設販売だった。



「うげ……ヤカンは銀色だろうが……。ピンクとか、ないわぁ……」


「えぇ……でも、可愛いじゃん」


私が、ヤカンを手に取ると先生は鼻で笑った。



「出た。女の可愛い病。なんでもかんでも『可愛い』って」



「だって、可愛いんだもん……」





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