届け、この想い~先生と私とチューリップ~
オレンジ色の空を見上げて、大きく息を吐いた。


このオレンジ色に、溶けてなくなりたい……。





「ここに居たぁ」


後ろから、沙織の声が聞こえた。


「あ……ごめん」


ゴシゴシと、涙を拭う。


「探したよー。教室にも居ないし」


と沙織は、私の脇腹を突いた。



「本当は、やってないんでしょ?」


いきなり確信をつく沙織に、びっくりしながらも、ためらいがちに小さく頷いた……。


「あの時、軽く肘が当たって……そしたら、突然ドサッと……」


「じゃあ、何で言わないの?」


沙織も、オレンジ色の空を見上げた。





「……やった、やってないの平行線になっちゃいそうだし。長沢さんは、私をよく思ってないし。私は大丈夫だから……。沙織さえ、信じてくれてたら大丈夫……」





「そうはいかないね」


突然の後ろから聞こえた声に、沙織と顔を見合わせた。


「先生……」


「なんで、それを言わない……。お前らの間に、何があるか分かんないけど、お前が悪者になればいいなんて事は、絶対にありえない」


壁に寄り掛かり、腕を組んだ先生は、私をまっすぐ見つめた。


「お前なら、出来るよな。大丈夫だよな?」



先生に言われて、ハッとした。


先生はいつも、

こうやって、さりげなく背中を押してくれる。




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