届け、この想い~先生と私とチューリップ~
「先生、ありがとう!私、長沢さんと話してくる!」

「廊下は、走るなよー」


先生と沙織の優しい微笑みを見て、私は階段を飛び降りるくらいの勢いで、保健室に走った。





ノックをして、返事を待つ余裕さえない私は、ノックしてすぐドアを開けた。


「コラ、静かに開けなさい」


保健の先生に怒られながら、パイプ椅子に座っていた長沢さんに近付いた




「……なによ。本当の事言ったって、先生は信じてくれなかったでしょ?」


少しバカにしたように、長沢さんは鼻で笑った。


「うん!……ううん!……あれ?」


「……どっちよ」


「先生には、話してない。だけど、仲直りしよう!さっきは、肘が当たってごめんなさい。体育祭、一緒に頑張ろう!」


笑った私を見て、長沢さんは、目を見開いた。


「……よく分かんないけど負けないから」


「うん!私も!」



お互い笑いながら、手を取り合った。



これで、いいのかな

先生……。







同じ気持ちの人は

嫌でも気付く







だけど、分かったよ。

同じ気持ちだから

分かり合えることもある。






長沢さんと私は

同じ人を好きだから

お互いの気持ちが、よく分かるんだ。




ライバルの存在は

嫌なだけじゃないんだ。



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