届け、この想い~先生と私とチューリップ~
「杏ちゃん!!特別に、いいこと教えてやるよ!!俺が1番好きな花は、雪の花だ!!誰にも染まらない、真っ白な雪の花だ!!杏ちゃんみたいな雪の花が……大好きだ!!」



立ち止まった私の足は、とても重かった。


先生……?


なに言っちゃってるの……?


私が好きだって、勘違いしちゃうじゃん……。


嬉しくなっちゃうじゃん……。


先生を、忘れられなくなっちゃうじゃん……。



「先生ー、バイバイ!!」


もう1度、大きく手を振る。


もう1度、飛び切りの笑顔を見せる。


これが、私の最大の愛情表現。



私の最大の、最後の強がり……。



先生……バイバイ


ありがとう







もうだめだ……。


もう我慢できないや……。


走った私の頬を、涙が伝った。


私のこと、生徒1号だって……。


やったぁ……。


最後に、笑顔を見せられた……。




先生と通った道を

1人、しんみりと歩く





2人で通った道は

全てが、色鮮やかに見えたのに

1人ぼっちのこの道は

全てがモノクロの世界……。






寒空の下

私は、涙を流す。





それを隠すように

雨がポツリ、ポツリと

頭、鼻、肩に落ちる。




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