届け、この想い~先生と私とチューリップ~
窓際の席で、頬杖をつき校庭をぼんやり見つめた。


校庭では、どこかのクラスの男子がサッカーをしていた。



先生も、あんな風に、キラキラと輝いた笑顔で、いっぱい気持ちのいい汗をかいてサッカーをするのかな……。






そんな事を考えていると「社会の授業、始めまーす」と、佐伯先生が入ってきた。




「なんで佐伯ちゃんなの?」


「社会の田中先生は?」


「こないだの授業で、グランドキャニオンに登りたいってずっと言ってたから、ついに登りに行っちゃった?」





クラス中は、大騒ぎだった。



私も、ついに幻覚が見えるようになったと思い、もう一度、校庭を眺めて、教卓に視線を戻す。



ドキドキと心臓が騒ぎ出し、小さく深呼吸を繰り返した。




「ほら、静かにしろ。田中先生はお休みで、空いてたのが俺だけだから。はい、プリント預かってるから配るぞ~」


PUMAのジャージを着た先生が、歴史のプリントを配ってる……。


これは、すごく貴重なシーン。


私は、ノートの端っこに、小さくメモをした。




先生が社会科のプリントを配る。


からかう男子の頭を、プリントの束で軽く叩く。






今日だけで、先生日記が書き終わっちゃいそうになるくらい、私はメモを書き留める。




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